火星の表面には、生命の存在を示唆する重要な手がかりが隠されているかもしれません。
最近のNASAの研究によると、火星の表面下には氷と共に水が存在し、その水が生命を育む可能性があるとのことです。
火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影した火星ダオ峡谷の白い部分は氷を含んでいると考えられています。
研究チームはコンピューターモデルを使って、火星の過酷な環境下でも水が存在する可能性を探っています。
特に興味深いのは、氷の内部に存在する水が、地表に存在する高密度の雪氷の下で太陽光を吸収して熱を発生させるというメカニズムです。
このプロセスは、地球上の「クリオコナイトホール」と呼ばれる現象に似ています。
この現象によって、日光の届かない火星の内部にも生命が存在できる可能性が示唆されています。
コンピューターモデルはさらに、火星の中緯度地方にある氷が微生物の生命を保護する役割を果たす可能性があることを明らかにしました。
地球に比べて火星の大気は薄く乾燥していますが、表面の氷は有害な太陽放射線から微生物を保護し、液体水の蒸発を防ぎます。
NASAのアディティア・クラー氏は、氷が含まれる場所は火星の生命探査にとって最もアクセスしやすい場所の一つであると主張します。
また、火星の地下深くには液体の地下水が存在する可能性も示されていますが、これらの場所は探査が非常に難しいとされています。
将来的には、火星での人間やロボットによる科学的探査の対象として、氷を含む内部水を探ることが最適な戦略と考えられており、NASAの研究チームはそのための準備を進めています。
火星に生命が存在する可能性を見つけることは、宇宙科学における新たなフロンティアです。
探査の未来は、人類がどのようにして火星の生命の謎を解き明かすかにかかっています。
