X(旧Twitter)のタイムラインは、まるで人間とボットが入りまじって無数の「素晴らしい意見!」が称賛の嵐となる、不気味な光景へと変貌しつつある。
実際、どこまでが本物の声なのか、あるいはアルゴリズムが量産した擬似的な会話なのか、区別がつかないことが多くなった。
SNSは今や、「死んだインターネット論」とも呼ばれる時代の脅威を目の前にしている。
今回、Xが断行したAPI利用ルールの抜本的な改定は、表向きにはスパムや低品質な投稿の排除を目的とするものだった。
この不気味な光景の裏側にあったInfoFiという報酬モデルに対し、ついに運営が強権を発動した。
これにより、報酬プログラムを目当てに大量生成される「インプレゾンビ」投稿も沈静化を図られている。
API経由でのリプライ供給源が絞られたことで、分かりやすく言えば「機械的応答」の連鎖が減りつつある。
Googleのパンダアップデートに例えれば、Xというプラットフォーム独自の自浄作用が発動したと言えそうだ。
ただし、変化は一様には受け止められていない。
「投資やテクノロジー系の有益なスレッドまでも“ヨイショ投稿”に埋もれてしまった」、「コミュニティの質が著しく低下した」といった怒り。
また一方で、過去に何度も繰り返された規制と回避のいたちごっこの歴史から、「結局また業者が新しい方法を編み出してくるのではないか」という不安が燻っている。
API停止の波は、開発者コミュニティにも激震をもたらした。
MetaのThreadsや分散型SNSのBlueskyへの移行を示唆する声も上がり、これまでフェイスブックのように競合アプリを買収・排除してきた歴史とは一線を画す動きが目立つ。
「ユーザーを囲い込む中で、『言葉』そのものの価値をどう守るか」が、改めて問われている。
ネットワーク外部性の法則――利用者が増えればサービスの価値が高まる――が今まではSNS全体を支配してきた。
しかし、ボットによる自動投稿やスパムによって“人間らしい”コミュニティの価値は簡単にマイナスに転じてしまう。
今回のAPI改定は、単なる対症療法を越えて、「人間の言葉」とアルゴリズム汚染の最前線での戦いでもある。
リプライ欄が再び活気を取り戻すのか、あるいは運営の管理による静寂が広がるのか。
この分岐点をどう生かすかは、今後のユーザーと開発者、そしてプラットフォーム運営側の選択にかかっていると感じた。
プログラマー目線でみると、過去何度もAPIの仕様変更を経験してきた身としては、イノベーションの余地が制限されてしまう寂しさもある。
でも、アルゴリズムと人間、その境界線をどう保つかは、最大の技術的・社会的課題だと改めて痛感させられた。

