X(旧Twitter)が導入した新しい透明性機能は、SNS上で誰がどこから発信しているかを可視化するものだ。
これまでは、プロフィール欄や投稿内容だけでアカウントの「正体」を想像するしかなく、他国の工作やなりすましを見抜くのは難しかった。
しかし、この位置情報の開示によって、思わぬ正体が次々と明るみに出ている。
たとえば、「テキサス在住」を掲げるアカウントが、実際には東欧やナイジェリアから運用されていたり、「日本人女性」として日本批判を繰り返していたアカウントが韓国拠点であることが判明したケースが相次いだ。
美容・整形情報を発信しているアカウントも、見かけは日本人だが、韓国からの発信だったという事実が浮かび上がった。
VPNやプロキシの利用で所在地を隠している場合にも、「UNKNOWN」と警告表示される仕組みが追加されているので、アカウントの信頼性判断がしやすくなった。
これらを受けて、以前から日本語の違和感や活動時間のズレを「なぜだろう」と感じていた声が、「やっぱり」という納得感につながっている。
一方で、AI翻訳や生成AIの進化で言葉の壁はどんどん低くなり、これまで難しかったネイティブレベルの言語工作も、どこからでも(しかも組織的に)仕掛けられる時代になっている。
この透明性機能は、SNSの「信頼」の形を大きく変える。
今や、アカウントのアイコンや投稿内容だけを見て「この人はきっと日本人だろう」「同じ市民だろう」と思い込むのは危険だ。
実際は遠い異国から発信されている可能性も常にある。
今後、人々は「この情報はどこの誰が発信しているか」という視点を無視できなくなっていくだろう。
自分としては、この透明性機能には大いに興味がある。
なぜなら、どんな技術的手段でVPNやプロキシの存在検知をしているのか、その挙動解析や回避策のイタチごっこが、いかにもWebプラットフォームらしいチャレンジだからだ。
また、位置情報や登録日のAPI公開、ユーザー名変更履歴の処理設計など、運用の裏側もつい深掘りしたくなる。
ただ、こうした技術で世論操作の土壌が可視化される一方、逆にそれを意識しすぎて「疑いすぎ社会」になるリスクも感じる。
今後は、健全な懐疑心を持ちつつ、技術の進化とイタチごっこを楽しむ気持ちも必要だと感じている。
どちらにしても、SNSの未来にとって転換点だと思う。

