今週、アメリカの音楽シーンに驚きのニュースが飛び込んできた。
カントリーミュージックのデジタル販売ランキングで、初めてAIが歌う楽曲が首位を獲得した。
「ウォーク・マイ・ウォーク」というタイトルのその曲は、アーティスト名義も「ブレーキング・ラスト」と正体不明。
SNSや配信サービスのプロフィールでもAIを使っていることが明かされており、楽曲のクレジットには実在しないボーカリスト名が並び、グループ写真や映像までもがAI生成という徹底ぶりだ。
さらに、AI楽曲を識別するソフトの分析でも「ウォーク・マイ・ウォーク」は90%近い確率でAIが作ったと判定されている。
クレジットに載っている作詞・作曲者の名前もオンラインでは実態が見当たらず、プロジェクトの中心になっているらしい「デフビートAI」という名のグループもネット上で関連が確認できるのみ。
SunoやUdioなど、AI音楽制作に特化したプラットフォームの登場以降、AIによる曲作りは爆発的に広まった。
その成果として、今年はクラシックロックグループ「ザ・ベルベット・サンダウン」の作品がAI産であると7月に認められ、再生回数が1,000万回を突破。
9月にはR&Bやソウルジャンルで架空の歌手「ザニア・モネ」が誕生し、小さなレーベルと推定300万ドルの契約を結んだというニュースも出た。
音楽までAIが主役になりつつある現状は、コードを書く身としても技術の進化の速さにワクワクさせられる。
AI生成ツールが今後どうやって音楽の制作や消費を変えていくのか、身近な分野だからこそ、その可能性と課題のどちらにも興味が尽きない。
特に「本物」と「AI」の線引きがどんどん曖昧になっていくこの状況は、元々データやアルゴリズムが好きな自分からすると、理念的にも技術的にもかなり刺激的だ。

