工場内を黙々と歩く人型ロボット。
中国・上海のKeplerが発表した「K2」は、1時間の充電で8時間も働き続けるという、そのエネルギー効率の高さがまず目を引く。
身長175cm、体重75kg、人間に近いサイズ感を持つK2は、52か所もの可動関節を備え、まるで人が歩くように膝を伸ばして二足歩行を実現している。
動画で見ると、障害物を柔軟に避けながら物流や製造の現場で動く姿がなかなか印象的だ。
面白いのは、K2がハイブリッド構成の駆動機構を採用している点だ。
アクチュエータとパラレルリンクをうまく組み合わせて、作業の安定性を保ちつつ、ロボット自身の寿命も延びている。
さらに、両腕で30kgまでの荷物を持てるため、現場での荷物搬送や積み下ろしもこなせる。
運用のためのソフトウェア面にも注目したい。
K2には階層型モデルの「VLA+」が搭載されていて、高度なセマンティック認識—つまり音声コマンドのニュアンスまで理解して、正確に指示をこなすことができるらしい。
これは人とロボットのインターフェース設計において大きな進歩だと感じる。
しかも、大手自動車メーカーとの提携や複数回の実証が既に進行中。
フレームワーク契約で数千台規模の受注も見通せるとのことで、この分野がいよいよ量産・実運用フェーズに入ったことを実感する。
部品検査や耐久試験など、従来だとエンジニアが頭を悩ませた工程も、現場でのフィードバックを反映させながらロボット自体が学習・最適化していく可能性があるのでは、と想像してしまう。
プログラミングやロボット制御の観点からすると、現実世界の不確実性—例えば段差や障害物など—に柔軟に適応するアルゴリズム設計や、リアルタイムでのセンサーフュージョン技術がどこまで洗練されているのか気になってくる。
今後、製造現場や物流だけでなく、教育や科学研究といった新しい分野にどう広がっていくのか、技術的なチャレンジも含めて非常にワクワクしている。

