韓国の研究チームにより、がん細胞を壊すことなく正常な細胞に戻すという全く新しい技術が開発された。
この技術は「REVERT」と呼ばれ、注目すべきは従来の化学療法や放射線治療のように細胞そのものを破壊するのではなく、「分子スイッチ」を切り替えることで細胞の状態を復帰させる点だ。
この研究では、単一細胞の遺伝子データを大量に解析し、正常とがん細胞の境界にある「臨界転移状態」を特定した。
そこに外から介入することで、がん細胞を正常な細胞へ一瞬で戻す可能性が示された。
さらに、細胞内で「YY1」と「MYC」という2つの遺伝子が変化の「スイッチ」の役割を持つことに着目し、最終的には「USP7」という酵素が重要な標的になることも突き止めた。
実際、大腸の臓器モデルを使った実験でUSP7を抑える薬を投与したところ、がん組織の成長が大きく抑制され、一部で正常な組織の特徴が回復することが確認された。
これはREVERT技術の仮説が現実でも通用することを示すものだ。
この発見は1つの細胞をまるでプログラムの状態管理のように捉え、スイッチの組み合わせや回路を調整することで元に戻せるという発想に似ていて、技術の可能性にワクワクする。
データ解析・モデリング・仮想実験というアプローチもシステム開発の工程に近く、生物学とIT技術の融合が加速していけば、未来の治療はますます「論理的なもの」になりそうだと感じた。
今は基礎研究段階だが、遺伝子操作でなく、根本的な治療法として広がっていくプロセスをリアルタイムで追いかけてみたくなる。

