京都大学の研究チームが発表した「セノリシス」は、老化細胞だけを選択的に除去するという非常に画期的な技術です。
これまで使われていた従来の薬剤では副作用や毒性が課題でしたが、PGAMという酵素に着目し、その働きを阻害することで、新しいアプローチが生まれました。
老化細胞が放出する炎症性サイトカインが慢性炎症や病気を引き起こしていましたが、セノリシスにより体内のレジリエンス(回復力)が上がり、難病治療にも希望が広がっているそうです。
一方で、寿命がさらに延びることで「シルバー民主主義」や、医療技術を受けられる層とそうでない層の格差、社会の分断など、避けては通れない倫理的な問題も浮かび上がっています。
生命のサイクルや「ヘイフリック限界」という自然の法則に人間がどこまで介入していいのか、という問いはとても重いものです。
2018年にはWHOも老化を疾患として認定していますが、技術の進歩が社会観や生き方そのものを問う時代が来ていると感じました。
プログラマーの視点からすると、細胞レベルでの「選択的制御」という本質は、情報システムで言えばソートやフィルタリング処理に近いものを感じます。
どの細胞を生かし、どの細胞に死を促すのか、そのアルゴリズム設計には驚きます。
倫理的な議論をルールベースでどう扱うのか、また、それが社会全体にどんな「バグ」や「仕様漏れ」を生むのか、技術進化と社会的制御の関係性をとても考えさせられました。
絶えずアップデートし続ける「人間社会」という巨大システムにおいて、新技術をどう組み込んでいくか、独裁者が不老不死になったらどうなってしまうのか? 興味が絶えないですね。

