MRIで測定した脳活動データをもとに、その人が見ていた映像の内容を文章として再現する技術が登場しているそうだ。
この新しい手法は「マインドキャプショニング」と呼ばれ、複数のAIモデルを組み合わせて脳活動のパターンから意味情報を抽出し、具体的な描写文章へと変換している。
たとえば「滝の上から人が飛び降りる」といった映像を見せ、脳の反応を何度も分析することで、それに近い文章を生成することに成功したとのこと。
さらにすごいのは、生成された文章の精度だ。
100通りの文章候補の中から正しい映像を特定できる確率が50%に達していて、これは偶然当たる確率（1%）を大きく上回っている。
従来の技術では単語の羅列程度しか引き出せなかったが、この方法だと文脈や詳細な描写まで含んだ形で思考を「読み取れる」らしい。
しかも、今回の手法は訓練済みのAI脳デコーダーを使い、新しい被験者の脳スキャンデータから意味的な特徴（シグネチャ）を予測し、AIテキスト生成器で一致した文章を生み出す仕組みだ。
Meta社の過去の試みでは高価な大型装置が必要で、生成される文も曖昧だったようだが、今回の技術はより実用的な応用へと道を開く可能性がある。
ただ、こういった思考読み取り技術は夢がある反面、倫理的な課題も多い。
たとえば、脳卒中や失語症の人々が新たなコミュニケーション手段を得られるという希望もある一方で、個人の思考という最もプライベートな領域が第三者にアクセスされるリスクも無視できない。
進歩する技術の二面性をうまく管理することが、ますます重要になってくるだろう。
プログラマーの視点で言うと、脳活動データという複雑なアナログ信号から意味を抽出し、自然言語にマッピングするという発想がとても興味深い。
AIモデルの設計や訓練がどうなっているのか、どのようなデータセットを使っているのかも気になる。
やがてMRIなどの大型装置を介さず、脳インプラントと組み合わせて思考とコンピュータを直接つなげる未来が来るとしたら、まさにSFの世界に一歩近づいた感覚になる。
人間の能力がAIと共に拡張される、その最先端を自分でも触ってみたくてたまらない。
