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狙われる日本の水資源とおもてなし資源 電力高騰にみる風が吹けば桶屋が儲かる説

狙われる日本の水資源とおもてなし資源 電力高騰にみる風が吹けば桶屋が儲かる説


2026年1月、アメリカ東部を襲った冬の嵐「ファーン」は、航空便の大量欠航や大規模停電を引き起こしただけでなく、現代社会が抱える深刻なエネルギーのジレンマを浮き彫りにしました。

世界最大のデータセンター拠点があるバージニア州では、卸売電力のスポット価格が1MWhあたり200ドルから1800ドルへと、わずか一日で9倍も急騰したのです。

 

 

この異常事態の背景には、記録的な寒波による暖房需要の爆発と、21ギガワットにも及ぶ発電設備の停止、そして底なしの電力を要求し続けるデータセンターの存在があります。

かつて19世紀の経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェボンズは、石炭の利用効率が高まるほど、皮肉にも石炭の総消費量が増大することを見出しました。

これは「ジェボンズのパラドックス」と呼ばれますが、現在のAIブームはこの法則を体現しているかのようです。

AIモデルの学習や推論が効率化されるたびに、その利便性から利用者が急増し、結果として電力網を限界まで圧迫しています。

北米電力信頼度協議会(NERC)が警告するように、新設されるデータセンターの膨大な需要は、今後10年でアメリカ大陸の半分以上をエネルギー不足のリスクに晒そうとしています。

これは、特定の個人が利益を最大化しようとして共有資源を枯渇させてしまう「コモンズの悲劇(誰もが自由に利用できる共有資源を、各個人が自分の利益を最大化しようと合理的に行動した結果、資源が過剰利用され、最終的に枯渇・崩壊するという経済学の法則)」そのものです。

電力供給のひっ迫は、同時に「水」を巡る深刻な対立も招いています。

データセンターは熱暴走を防ぐために膨大な水を冷却に用いますが、その多くは貴重な公共の水道から引かれた上水です。

1通のメールをAIで生成するたびにペットボトル1本分の水が失われるという試算もあり、この事実は2021年にテキサス州で起きた電力網崩壊を知る人々に、生存に関わるインフラがテクノロジーに奪われるという強い不安を植え付けています。

SNS上では「ゴルフ場の方が水を使っている」といった業界側の主張に対し、「ゴルフ場は社会を根底から変えると主張したり、電力網をパンクさせたりはしない」という厳しい反論が渦巻いています。

さらに、企業が秘密保持契約(NDA)を理由に詳細な消費データを開示しない姿勢は、地域住民の不信感を煽っています。

冷却システムに「永遠の化学物質」と呼ばれるPFASが使用されるリスクや、発電に伴うスコープ2排出の問題など、透明性を欠いたまま進む開発は、かつてチリで起きた地下水問題を巡る訴訟のような事態を全米各地で引き起こしつつあります。

これは一民間企業の事業が地域住民全体に影響しうる例ではあるのですが、日本ではAmazonの「送料無料」や「当日配送」が、実はドライバーの献身的な労働とインフラの無理によって支えられていた日本独自のおもてなし資源によるもので、それが枯渇した結果2024年問題として噴き出し、物流価格が上昇し、さらには物価高に繋がっています。

 

 

 

生成AIは指数関数的に進化することを考えると、日本でデータセンターの冷却による水問題が起きないとも言い切れません。

私たちは今、AIがもたらす便利さと、暖房や飲料水といった生存に不可欠なリソースを天秤にかける、過酷な審判の場に立たされています。