イギリスのノッティンガム大学の研究者たちが、歯のエナメル質を塗るだけで修復できる画期的なゲルを開発しました。
エナメル質は歯を外側から守る硬くて薄い層で、加齢や日々の酸による侵食が原因で傷ついてしまうことが多く、虫歯の大きな原因となっています。
しかし、一度失われたエナメル質は体内で自然に再生することができません。
これまでは人工材料による補修が主流でしたが、エナメル質独特の複雑な構造や強い耐久性を完全に再現するのは難しい課題でした。
今回のゲルは、エナメル質が自然に出来上がる時のタンパク質「アメロゲニン」の働きを模倣するように設計されたもので、「ELR(Elastin-Like Recombinamer)」という特殊なタンパク質を使って作られています。
使い方はシンプルで、歯の表面にゲルを塗るだけ。
ゲルは歯の細かな亀裂や穴にしっかりと浸透していき、唾液中のカルシウムやリン酸を取り込んで本物のエナメル質と同じ構造を再現します。
再生したエナメル質は強度や弾性、耐久性が天然のものと同等もしくはそれ以上。
450日分の歯磨きや、3.5年分の負荷試験、そして酸性の液にさらす実験でも、しっかりと耐えられたという点がすごいです。
また、このゲルはエナメル質だけでなく、象牙質が露出した部分にも塗布でき、その上に新しいエナメル層を形成することができます。
さらに研究チームは「Mintech-Bio」というスタートアップも設立し、商品化に向けて本格的に活動を始めたようです。
こういったアプローチは、まるで失われたパーツを3Dプリンタで出力して補うような感覚で、材料科学とバイオテクノロジーの融合だと感じます。
もしAPIのように外部サービスとして「エナメル修復処理」が提供される時代が来たら、いろいろな健康サービスの統合も進みそうで、プログラムを書く視点からも刺激的です。

