「スパイト行動」とは、「自分も損をすると分かっていながら、相手の利益を減らそうとする」心理的行動を指す。
たとえば職場で、自分が評価されないと分かった瞬間、同僚の昇進を妨害する。
SNS上で他人を誹謗中傷してしまう。
周囲の誰かが恵まれていると、心のどこかでやきもちを感じて攻撃的になる…。
こうした行動の背景には、根本に「不安」や「嫉妬」といった心の動きが隠れていることが多い。
特に日本では、このスパイト行動が多いと言われている。
研究によると、日本人は自分の利益よりも、相手の足を引っ張る行動に出やすい傾向が見られたそうだ。
日本独特のムラ社会や、厳格な上下関係、内と外をはっきり区別する文化も影響していると考えられる。
さらに遺伝的な要因も指摘されている。
セロトニントランスポーター遺伝子のSS型、いわゆる「悲観型」を持つ人が日本人には多く、これは不安を感じやすい体質らしい。
不安が強いと、他人と自分を比べたり、評価を気にしたりして、ちょっとしたことでも攻撃的になってしまうことがある。
面白いことに、誰かの不幸を喜ぶ「シャーデンフロイデ」という感情も多くの人が抱く。
たとえばサッカーの試合で、相手チームがミスすれば思わず喜んでしまう…こうした感情には社会的な帰属意識も絡み合う。
このようなスパイト行動は、社会全体にも影響を及ぼす。
新しい挑戦・技術・アイデアが潰されたり、才能が埋もれたりすることで、閉塞感や経済停滞に繋がることもある。
「どうせ何をやっても叩かれる」と感じる風潮は、みんなの自由やチャレンジ精神を鈍らせてしまう。
スパイト行動を防ぐためには、まず自分の心の動きと向き合うこと。
「嫉妬している」「否定されて悔しい」といった本音を認め、感情の原因を探ってみる。
また、意地悪な言動には意地悪返しで応じず、冷静に距離を取ったり、同調圧力に屈しない“心理的スペース”を意識することも大事だ。
もしネット上などで他人を攻撃したい衝動が出てきた時は「それ、もしリアルで本人に言える?」と自問したい。
プログラマーとして感じるのは、こういった「人の心の複雑な動き」が、ITシステムのトラブルや炎上、開発現場の対立にも意外と深く絡んでいるということ。
コードのミスや仕様の衝突は、単なる論理ミスや技術論だけでなく、こうした心理的な「スパイト行動」や嫉妬心、承認欲求と無縁じゃない。
だからこそ技術面だけではなく、チームの雰囲気や個々の感情にも目を向けることが大切なんだと改めて感じている。

