日本の農村を象徴する鏡のように空を映し出す水田の景色が今、劇的な変化の時を迎えています。
猛暑と不安定な降雨が常態化した日本において現在も続く令和版米騒動など、稲作のあり方が根本から問われています。
そこで全国の農業現場で注目を集めているのは、水を張らない田んぼに直接種をまく「乾田直播」という革新的な栽培法です。


乾田直播は水を張っていない乾燥した状態の田んぼに、直接種をまく栽培方法のことです。
この技術の核心にあるのは、アサヒバイオサイクルが開発したビール酵母由来の農業資材であり、これが稲の免疫力を高め、乾燥した土壌でも深く根を張ることを可能にしました。
アサヒバイオサイクルが提唱するビール酵母を活用した乾田直播は、単なる省力化の手段ではなく、気候変動に対する「緩和」と「適応」の強力な武器として、今や国策の柱に据えられました。
政府が発表した最新の予算案でも、高温に強い種子の供給と並んで、この節水型栽培の導入支援に15億円もの巨費が投じられており、普及に向けた外堀は急速に埋まりつつあります。
作業効率を劇的に改善し、労働時間を7割も削減するというこの手法は、深刻な後継者不足に悩む日本の農業にとって、まさに救世主のように映ります。
米が乾いた土で栽培できるようになれば、米=水田=地方の平地である必要もなくなり、新しいイノベーションに繋がりそうです。
しかし、この効率化の波に対して、先祖代々受け継がれてきた「水を湛えた田んぼ」という原風景が失われることに、無意識の強い不安や怒りを抱く人々もいるようです。
SNS上では、効率を優先するあまり米の味が落ちるのではないかという懸念や、水辺の生態系が崩れることへの批判が渦巻いています。
実際に、水田には「緑のダム」としての洪水防止機能や、生物多様性を守る役割がありますが、水を張らない期間が長くなれば、その多面的な価値が損なわれるリスクは否定できません。



2026年度予算で政府が「高温耐性品種」と「節水型乾田直播」をセットで支援するために、具体的な予算を割り当てて普及を強力にプッシュしている事実があることから、将来の日本の農村風景は様変わりするかもしれません。

