イギリス政府は、殺人犯になる可能性が高い人物を特定するための「殺人予測システム」を極秘に開発していました。
この取り組みは、リシ・スナク政権が始めたもので、未来に誰が殺人を犯す可能性が高いかを予測することを目的としています。
このプロジェクトに関する情報は、国家監視を行う市民団体Statewatchの公開請求によって明らかになりました。
入手された文書には、司法省が行った「データ保護影響評価」や「内部リスク評価」、さらにはグレーター・マンチェスター警察との「データ共有合意書」などが含まれています。
このプロジェクトは、イギリスの刑事司法制度で使用されている「犯罪者リスク評価システム(OASys)」を改良する試みでもあり、データサイエンスの手法を活用して殺人リスクの評価を向上させることを目指しているとのことです。
約50万人分の個人データを使用して、このツールの開発と共有が行われています。
しかし、Statewatchの研究者ソフィア・ライアル氏はこのプロジェクトを強く批判しており、政府が開発する犯罪予測システムは冷酷なディストピア的なものであると指摘しています。
過去の研究では、アルゴリズムが白人被告に対して高い精度を示す一方で、アジア系や黒人、混血の被告に対しては予測精度が劣る結果が報告されており、これは人権問題や差別的な側面を孕んでいると主張されています。
さらに、ライアル氏はシステムにリソースを投入するよりも、福祉の充実や根本的な安全保障策を強化すべきだと述べています。
技術に頼る安易な解決策は、社会の安全や人々の福祉を損なう可能性があると警鐘を鳴らしています。
このプロジェクトは、その名が「殺人予測プロジェクト」から「リスク評価改善データ共有」に変更された経緯もあり、政府の意図や真剣な取り組みについて疑問を持つ声も上がっています。
プログラマーとして、このような取り組みがテクノロジーと倫理の狭間でどのように発展していくのか、非常に興味深く思います。
データの持つ力と、そこから生まれる影響を考えると、責任ある開発が求められる時代に突入していることを実感します。
